美穂子の隣には、昨日駐車場で話した女性が立っていた。

マユは美穂子の腕の中で、嬉しそうに顔を擦りつけている。


「昨日は突然失礼しました」


女性が白髪交じりの頭を私に向かって下げた。

冬真さんが私の顔を見る。


「昨日、冬真さんとマユが公園に行っている時、駐車場に来ていた人なんです」


美穂子は済まなそうに私を見て「ごめんなさい」と言った。


「本当に娘がご迷惑を掛けてしまい。美穂子はすぐ男にのぼせ上ってしまって。今まではうちにマユを置いて行っていたのですが、前回の時に主人が厳しく叱ったことで、こんな他人様にマユを預けるなんて」

「だってお金が無いっていうから、お金持ちに育ててもらったほうがマユも幸せかと思ったんじゃない」


美穂子があまりにもあっけらかんと言うので、返す言葉も出ずに驚いてしまった。


「馬鹿言うんじゃない!」


女性は怒りながら美穂子の腕を叩く。


「マユは可愛い孫です。お金が無くたってうちで育てます。これからは美穂子とマユと同居することにしましたから」

「おばあちゃんもいっしょ?」


マユは嬉しそうに女性の手を取った。