ゆえん



マユと私がお風呂から上がると、冬真さんはマユを寝かしに行ってくれた。

おかげでゆっくりと髪をドライヤーで乾かし、台所で冷たい水を飲んでいた。


「マユは寝たよ。俺、お風呂入ってくるから」

「あ、はい」


こんな会話をしていると、同棲している気分と言うより、すっかり家族気分だ。

なんだか可笑しくなって小さく笑った。


気分良くリビングのソファーに腰を掛けると、ひとつ気になっていたことを思い出した。

この家にはリビングとキッチンのほかに、私とマユが寝室に使っている部屋、冬真さんの寝室、そしてまだ入ったことのない一室あった。

その部屋が無性に気になった。

勝手に入ってはいけない気がして、ここに来てから一度も覗いたことはなかったが、今なら冬真さんに見つかることなく、部屋の中を見ることが出来る。

その誘惑に負けて私は、もう一つの部屋に足を踏み入れてみた。