ゆえん



冬真さんとともに働くようになってから、私は料理についてネットで色々と見るようになっていた。

野菜ならデザートよりスープのほうが体脂肪やカロリーを抑えやすいと思った。


「スープのレシピもそのノートに書いてあるんですか?」

恐る恐る訊くと、冬真さんは首を振ってノートをテーブルの上に置いた。


「思いついたのはいいけど、レシピはないんだ。これから勉強しないとな」


沙世子さんのレシピノートにないものを作る。

そのことが一筋の矢のように私の心を射抜いた。

その矢に新たな招待状が結んであるように感じたのだ。


「その、スープレシピ、私に任せてもらえませんか?」


いきなり威勢よく言ってしまったので、冬真さんは少し驚いていた。

それでもすぐに穏やかな笑みを浮かべて「それじゃあ、お願いしようかな」と言ってくれた。

私はコーヒーのことも忘れ、すぐに部屋に戻った。