ゆえん



一人でテーブルに座っているマユに、話しかけてくる客が多いことに私は驚いた。

それを冬真さんは分かっていたようで「厨房で待っているより、大勢の人に構ってもらえるほうがマユには良いような気がする」と言った。

音根町ならではの、人の温もりを感じる光景に胸が打たれる。

私はこんなに感動しやすい人間だったのだろうかと思うけれど。


最初は声を掛けられるたびに、ぎこちなく返事をしていたマユも、慣れてきたのか次第に笑顔になり、周りの客に遊んでもらったりしていた。

子供は馴染むのが早いものなのだと感心してしまう。

カウンターに冬真さんが居ることが大きいのだろう。

マユは時々、冬真さんや私の姿を確認しているようで目が合うと嬉しそうに笑った。