買い出しから戻ってきた冬真さんはいつもより表情が明るく、マユを見ると表情が和らぐ。
マユも子供好きな人を見分ける能力を持っているようで、冬真さんが来るとすぐに彼の傍に行く。
まるで我が子のように片腕でマユを抱き上げ、厨房の中を歩く。
かつて、女の子の父親であった冬真さんは、子供の扱いに慣れているのだ。
女であっても楓と私はマユに対してのことでは、冬真さんに敵わない。
午後五時を過ぎると、冬真さんが「遅くなるからマユを連れて先に家に戻っていて」と言った。
マユにそのことを告げると「マユもおみせがいい」と言って、昨日ずっと座っていた席に座りたがった。
ほかの客の邪魔になりそうで、厨房へ連れて行こうとすると、冬真さんがオレンジジュースを持って、マユを昨日の席に座らせた。
「いいよ、ここで。トウマの仕事が終わるまで、待っていられるか?」
「うん!」
「よし、いい子だ」
長く美しい指で、マユの頭を撫でると「大丈夫。ここに居させてあげよう」と私に告げた。

