ゆえん



冬真さんは少し考えて、マユを見てから「そうだな」と言った。


「この子もいきなり知らないおじさんと二人で生活するのは戸惑うだろうな。空いている部屋があるから、この子の母親が戻るまで、木下にも来てもらうか」

「はい。じゃあ一度帰って、必要なもの取ってきます」


押えても声が明るくなってしまう。

バッグを持って駈け出そうとしたところを冬真さんに呼び止められた。


「なにか、子どもの好きそうなお菓子を買ってきてくれるかな」

「はぁ。子供の好きそうなお菓子ですね。わかりました」


コンビニに寄ってみたものの、あんな小さな子供が自分の周りに居たことがない私は、どのお菓子を選んでよいのか見当がつかなかった。

とりあえず、チョコレートとクッキーを手に取った。

飴もあったほうがいいかな。

目につくもの全てが必要な気がして、レジに持って行った時には十点ほどのお菓子を台の上に置いた。