ゆえん



「浩介君って……順一さんよりロマンチストかもしれない」


目頭を押さえてから、瞳さんは笑顔を見せてくれた。


「私の一生のお願いをきいてくれる?」

「え、一生のお願いですか?」

「そう。一生に一度言うからこそ、効力を持つものでしょ」


初めて楓と言葉を交わしたときのことを思い出して俺は笑った。


「楓に初めて会った時、楓も一生のお願いについての考えを言ってました」

「本当? じゃあ、それって私の受け売りだわ」

 
瞳さんも楽しそうに笑った。


「浩介君にだから言うわ。楓のこと、成長させてあげてね。あなたが居ないとダメな人間にしないでね」


言葉が持つ以上の意味を込めた瞳さんからのメッセージを受け取った気がした。