そんなはずはない。

でも目が離せなかった。

生き写しのようだ。

そのくらい似ているように感じる。

でも、冬真を見る気もないような彼女の目の動きから感じる素っ気無さが、沙世子ではないことを冬真に気付かせる。


「……カフェオレ、ですね」


努めていつもと変わらない営業用の笑みを返し、カフェオレを作り、差し出した。

三百円を支払って、女性は空いている席を探す。

その姿を先ほどの学生二人があからさまに見ている。


「理紗さん」


学生の一人が声を掛けると、女性は学生たちを見て少し冷めた笑みを見せた。


「もしかして、これから秀明も来るのかな」

「あー、練習あるんで、来ますよ、奴も」

「そう」


理紗は学生たちとは逆のほうへ歩き出し、一番窓よりの席に腰を掛けた。