「俺、すげー幸せ」


ニンマリしながら歩く社長
社長の手は私の手と繋がれており
いい年して、ブンブン腕を振っている

やはり金銭感覚が違うのかとぐったりする


婚約指輪にドレスに結婚指輪…
これだけでも結構な金額
私がコツコツ貯めた貯金なんか
微々たるものだ

だが、ふと思った
社長と生活をしていて
贅沢をしているなんて思ったことはない
もちろん、部下として働いている時もだ

たまに寿司を奢ってもらったり
みんなにお弁当や差し入れをしてくれるが
決して高額ではなく
社長のお給料なら問題ない


ここぞという時だけだ
……私の、ため?

そう考えたら、顔から火が出そうだ



「何食うかな?」


独り言のように話す社長
すかさず私は斗真さんの店を推した
だが、いつも以上に嫌な顔をした社長