「…悪かった」
そう素直に認めてくれて
私の心は晴れて行った
けど一つ、気になっていたことがある
『…それ、どうしたんですか?』
明るいところで見ると
かなり紫色になっている口元
見るからに痛々しい
「あー…、殴られた」
誰にっ!?
聞こうと思い口を開いたが
私より先に真尋さんが言葉を発した
「その話は帰ってから二人でしなさいよ。ボビーが私の帰りを待っているのよ?」
ボビーとは
真尋さんの婚約者だ
ボビーさんが世界で有名なIT企業の
日本社のCEOに就任するということで
真尋さんも日本に戻ってきた
「またね」
と、手を振ってくれた真尋さん
今度会ったら、ちゃんと謝りたい
社長の説明不足とはいえ
私達の家を設計してくれる人に
嫌な気持ちを与えてしまったんだ
二人でちゃんと、謝ろう。

