優さんに言われてから2週間
結局、何も話せず
痺れを切らした優さんが助け舟を出してくれたのだろう
なら、覚悟を決めて口を開く
『うん、あのね、…仕事のことなんだけど、幹さんも随分慣れたし、優さんも一人でデスクワーク回せるからさ、私ー』
と、本題へ入ろうとした時
絢斗のスマホが鳴った
画面を見ると、絢斗の顔にシワが寄る
悪い、と言って席を立ち
絢斗はスマホを耳に当て話し始めた
多分、キャリアの担当者だろう
今日は午後から会議がある
事前打ち合わせだろう…
また話すタイミングを逃した
せっかく優さんが言ってくれたのに…
絢斗はスマホ片手に、鞄と上着を持ち
玄関へ向かっていった
私も見送るために、慌てて玄関へ向かう
行ってきます、と声に出せない代わりに
優しくキスをされる

