「今頃、焦りまくって探しているんじゃないかな?」
そう言うと、斗真さんは席を立つ
丁度、植野さんが料理を運んでくれた
社長が探している?
エレベーターが閉まるときの
社長の顔が脳裏に霞んだ
鞄からスマホを出す
さっき電源を切ったばかりだ
どうしようと、悩んでいる場合ではない
早く仲直りしたい
あんな顔を二度とさせたくない
そんな気持ちが強く
スマホの電源を入れた
『わぁっ、あ、えっ?』
電源を入れた途端、センター預かりになっていたメールがバンバン入ってきた
【澪、どこにいる】
【頼むから電話に出てくれ】
【マンションにいるのか?】
【黙っていたこと、謝りたい】
【澪、頼むから声を聞かせてくれ】
文字からも社長の必死さが伝わってくる
着信履歴も半端ない
かなり心配をかけてしまっている
連絡しなくては、とスマホをタップした

