とりあえずグランドから離れた所で足を止めた。
本当何してんだ、俺は。
七瀬先輩は大学に行って益々綺麗になって
きっと高校の時よりもモテているんだろう。
そんな先輩に…あんな表情をさせてしまった…。
「龍之介先輩?」
「…坂本さん…」
「どうかしたんですか?」
彼女は練習用具を持ちながら
ひょこひょこと俺に近づいて来た。
七瀬先輩にあんな表情をさせて、
坂本さんの気持ちも踏みにじるような事をして、
本当に俺は、情けない…。
本当に俺は、七瀬先輩の事が…
「あの、龍之介先ー」
「坂本さん御免。」
「…へ?」
「君とは付き合えない。」

