目の前からジュン君が消えた。
神様は許してくれないのか。
こんな小さな幸せを感じることさえ…。


「ジュン君?!どこ?ジュン君どこに行ったの?!」


返事がない。
さっきまでここで遊んでいたのに。
一瞬目を離した隙にいなくなるなんて。

行方不明になった子供達は
こんなふうにしていなくなるのかな。
私はだんだん顔が青ざめていった。

会えないの?
もう会えないの?
さっきまで、手を繋いでいたのに…。


「ジュン君っ!???」


みんな、大きな声に驚いて
何があったんだと、
私の方を見た。

「ジュン君っ!!!どこ!!?
返事して!」

恥ずかしくなんてなかった。
もうどこにいたっていい。
ジュン君、帰ってきて。
返事をして。

沢山いると思ってた海辺は
どうやら見渡せば数えるくらいしかいなくて、その中にジュン君の姿はなかった。

誘拐されたかもしれない。
世の中物騒だもの。
こんなふうに居なくなった
子供達なんて数え切れないくらい
いるに違いない。

お願い、私のことなんてもう
どうでもいい。
私の幸せなんてもう捨ててしまってもいいから、あの人の…あの人の
大切なあの子を返して…。