夢の中のジュンくんは
まだ3歳ぐらいだろう。

冬なのか、少し厚着。
なのに海を見てはしゃぐジュン君。



この子さえいなければ…。
そんな感情も忘れてしまうほど
私はジュン君の手を握り一緒に歩いた。


「だめだよ、服が濡れるから」


不倫相手の子供とはしゃぐ愛人の姿は
世間の目にはどう映るのか。

なんにも知らなければ
幸せそうな親子なのかもしれない。
少し若いお母さんに見えるだけかも
しれない。
それとも、年の離れた兄弟のように
見えるかもしれないね。


「ちょっと、オレ用事あるから
ジュン見とってくれる?」

「あ、はい」

あの人は
扉を開けてどこかへ行ってしまう。

扉。扉の向こうは施設のようで
すぐ角を曲がれば階段がある。
見たわけじゃないけど、なぜか
そう思った。


やっぱりこの海は人によって造られたものなのか?
するとここはどこかのテーマパークかのかな。

この子の本当の名前は違うのに
私は、なんでジュン君と呼んでるのだろう?

疑問を抱えてるうちに、これは
夢だと納得する自分がいた。

でもこんな幸せな時が
夢なんかではないと願う。


ジュン君のはしゃぐ姿をカメラに
おさえておこう。

あなたと奥さんの子なのに、
愛おしい。
自分の子供みたいに愛くるしい。


きっといい思い出になってくれる。
でも、なかなか携帯のカメラが
起動しない。