「八神様、お連れいたしました。」


「…入れ」



執事のゼロが一人の女を連れて入ってきた。


「こちらが人間、八神様の専属メイドをする方です。」


ゼロが女の首根っこを掴んで前に来させた。


グエッっなんて言ってる。


「自己紹介しなさい。」


「うぐ、首根っこ掴まなくてもいいじゃん…」


「…し・な・さ・い。」


ゼロが黒いオーラを放っている。ゼロをキレさせるとかこいつ天才か?


「はぁ…何故かここに連れてこされ、八神様とか言うこの屋敷の当主の専属メイドすることになった京 千代です。よろしくお願いいたします。」



…こいつは俺をもキレされる天才かもしれない。


「貴様、八神様に対してその態度とは…すぐに罰を加えるぞ…?」


「は?!何で?フツーに自己紹介したじゃないか!」


目の前で始まる女とゼロの睨み合い。



俺からも1つ言わせてもらおう


「そこの女。人間は礼儀を知らんのか。」


「礼儀…?あぁ、知ってるよ?ただ私がそーゆーのが苦手なもので。」


そーきたか。知ってるし!とか反抗的になるかと思ったら真逆をいったな。


「貴様…八神様にその口の聞き方はなんだ!使用人という立場をわきまえているのか?!」


「いやいやいや、勝手に使用人にしたのはそっちでしょ?!立場をわきまえて欲しいのはこっちのセリフだね!」


またもや睨み合いが始まる。


「…ゼロ」


「っ、失礼いたしました。お見苦しいところをお見せしました。貴様、こっちにこい!存分に罰を与える。」

「は?!ふざけんなよ!あたしは何も悪くないもんね!」


女は構える。


…悪魔の力に勝てるわけないのに、バカだな。


「やるというのか貴様。ならば廊下で制裁を加えるまでだ。」


「あぁ、やってやろーじゃん!あたしは1ミリも悪くないもんね!どうしても制裁を加えるんだったら全部耐えてやるよ!」



マジか。



悪魔の力に勝とうというのか。




そりゃ見ものだ。


「…ゼロ、外でやれ。あと俺も見る。」


「八神様…」


「この女が悪魔に勝てるか興味深いからな。」


「悪魔?!まじか、こいつら悪魔か…いるもんだな、未確認生物って…」


女はブツブツ呟いている。


ゼロはそいつの首根っこを掴んで外に連れ出していった。