6時半。
ん?疲れた・・・。
「あっ!」
「ん?どーした?」
どうやら私、寝てしまっていたようだ。
顔には制服の跡が付いている。
「さむそうだったよ。」
肩には雅のパーカーがかけられていた。
「風邪ひくなよ。」
雅は笑顔で言ってくれた。
周りを見るともう、勉強している人はいなかった。
「ごめん、待たせちゃって」
帰る準備をしながら言うと「全然」って笑顔で言った。
私と雅が図書室を出るともう廊下には誰もいなかった。
「帰ろう。暗いし、送るよ。」
私は「大丈夫」って言った。
でも、
「涼華は女の子でしょ?帰ってる途中に何かあったらどーすんの?」
そんなのズルい。
中学卒業するまでは『涼華』って呼んでくれなかった。
「あのさ」とか「ねぇねぇ」とか「お前」とか。
友達としての絆が深まったから『涼華』って呼んでくれてるって思ってた。
でも、どうやら、違ったようだ。
「ズルい」
「『そのまま接して』って言われたけど、
好きな女にアピらずにいられるかよ。
俺が好きなのは涼華だから。絶対、忘れんなよ。」
「だーかーら、ズルいっ!」
鍵を閉めて私は廊下を歩き出した。
雅は「待って」って言うけど、そんな気ない。
たぶん、いや絶対、今顔が赤いから。
職員室に行って鍵を返す。
「失礼しました。」
職員室って、いまだに慣れない。
何であんなに緊張するんだろう。
私達は昇降口に向って校門を出る。
学校の近くにはコンビニがあって、もうライトがついていた。
もうすぐ夏とはいえ、この時間はもう暗い。
こんなに遅くまで残ったの、中学で生徒会の仕事した時以来だ。
去年は受験に追われてたな。
ここに合格するのも結構、苦労したしな。
「涼華、テスト大丈夫?
この前のテスト割と順位よかったから、また、競えないかなって。」
中学時代の成績はあまり変わらなかった。
五十歩百歩ってとこだ。
でも、普通科と美術科の差はやっぱりでてる。
前のテストの点差も30点くらいあったし。
「無理だと思う。私、勉強嫌いだし」
これは私の本音。
成績が変わらなかったのは中学時代。
普通科と美術科はやっぱり違う。
学ぶ趣旨が違うから。