青空と君


家を出て1分。
俺は今知らない人の自転車を追いかけている。
ものすごく疲れている。
ー1分前ー
「今日は快晴か、入学式にはもってこいの天気だ。」
おれは清々しい青空を眺めていた。
そんな時後ろから慌ただしい声が聞こえた。
「誰か!その人捕まえて!」
中年くらいの女の人が息をきらしながら走ってきた。
誰かを指しながら。
指した方を見てみると、自転車に乗っているおじさんだった。
左手はハンドルを握っていて、右手には、黒い高価そうなバックを持っていた。
(ああ、ひったくりか。)
「このバック俺のだ!返して欲しけりゃここまで来いよ!あははははは!」
やけにうるさい。
耳が痛む。
(どうしようか、バックを取り返すべきなのか。入学式までまだ時間はある。)
この辺はとても人通りが少ないため、今周りにいるのは俺と中年くらいの女の人と、やけにうるさいオッサンしかいない。
つまり、俺が取り返すしか方法はない。
おれは猛スピードでオッサンを追いかけた。
「お前待ちやがれ!!!」
「!!」
俺はオッサンを追いかけることしか目になかった。
しかし俺はオッサンについていけず見失ってしまった。
「はぁ、はぁ……あいつ……どこ行きやがった……」
立ち止まったその時俺はトラックにひかれた。
(あ……そうか……ここ……車道のど真ん中だったな……)
気を失った。