小日向美琴。

美琴もやっと高校生。


小学校は最初こそ車イスをからかわれたものの、みんな優しかった。



中学校は不登校。
学校に行くのが怖くなってしまった。



でも、高校は頑張る。

友達作って、楽しみたい。




彼氏なんかできっこないんだから
せめて充実したい。




「美琴~!」


幼馴染みの橘由香里が笑顔で駆け寄ってきた。



「由香里!同じクラスだね!」


なんだかホッとした。
1人でも友達がいるのはいいことだよね。




…視線。



「…あの子車イス…?」
「え、まじ?可哀想…」




クラスからもそんな声がきこえてきた。

美琴は車イスを自分でそっと
動かして、人混みから離れた。

それに気づいた由香里の表情が曇った。



「美琴…あ、あっち行こ!」



「…うん」


由香里…気い遣ってるな~。



優しいんだけど、ちょっぴり辛い。




入学式を終え、美琴と由香里は
教室の入口で話していた。


すると…

同じクラスの男の子がこちらへ向かってきた。


全く知らない人だが、ここを通ろうとしてるのだろうか。




…退かなきゃ。





美琴は車イスをこごうとした。



「どけ、邪魔」




え…。




その男子生徒は冷たい視線で
そう言い放った。



由香里は目を見開いて怒鳴りつけた。



「美琴になんてこと言うの!?あんたこそ邪魔なんじゃないの!?」



「由香里…いいから……私は大丈夫」


すると男子生徒は舌打ちをして
教室の中へ入っていった。