恋「ん……」
何してたんだっけ…?
ふと疑問に抱いたが、それもすぐに解消しれた。
隣に悠の顔があったから。
格好いいんだよなぁ……
私は悠の頭に手を伸ばす。
悠「ん、起きた?」
恋「ひゃっ」
咄嗟に手を戻す。
いや、戻そうとした。
悠「撫でてくれないの?いつもみたいに」
恋「いや……えっと……」
悠「何?」
恋「撫でないし!ばか!」
私はそれを言うと、ベッドから出て理事長室へ行った。
理事長室では机に向かう秋。
ソファには隆守が座っていた。
恋「2人とも、ありがとう」
秋「あぁ、起きたのか」
隆守「よく寝てたみたいだな」
恋「悠、いたから」
悠がいるだけでよく眠れるのだ。
悪い夢も見ない。
ただ、これを口に出すのは私にとってとても恥ずかしい。
悠に頼ってるみたい。
納得できないけど、それが事実なんだよね。
隆守「あいつらには言っておいたから」
恋「……うん」
まだ私はあいつらが怖い。
怖いのは信じられていないからだろう。
悠「全く……置いていくなんてひどいよな〜」
奥の部屋から悠が出てくる。
悠「でもさ、なんで俺と恋を別のクラスにしたのかなぁ?めんどいんだけど」
秋「何かあったら放送で呼んでやってんだろ……。お前が恋のクラスにいたら見た瞬間暴れるだろうしな」
悠「暴れねぇよ。ただハナシアイするだけだ」
それがダメだってことに悠は気づいてないんだろうな。
悠が同じだったら安心はするけど、やっぱりある意味怖い。
秋「もう、放課後だからな。悠、恋のこと頼んだぞ」
悠「おー、ほっといたら飯も食わねぇからな」
理事長室からは私が先に出た。
学校では関わらない、これが約束だから。
外に出ると、空が赤く染まっていた。
恋「綺麗……」
「おい」
聞き覚えのある声がし、その声の方を見ると
嵐「少し、話さねぇか」
嵐がいた。
私の頭に今朝の光景が過ぎる。
反射的に体が震え出す。
恋「悠……悠…………!」
助けて……!
悠「おい」
恋「悠!」
私は悠に抱きつく。
悠は私の身体をしっかりと抱きしめ、嵐を睨んだ。
嵐「お前は誰だ」
嵐もまた悠を睨んできた。
二人の間に火花が散る。
しかし、私の意識は長くは持たなかった。
恋「ごめ……」
悠「いいよ。大丈夫だから」
私はそのまま意識を失った。

