大好きな君へ〜私はもう大丈夫だよ〜



さて、悠のために朝ご飯作らないとね。

悠の好きなのだと……よし。

私は冷蔵庫を確認し、必要な食材を取り出す。

私自身は食事はほとんど取らないが、悠に作ることが多いため食材はある。

料理もしないだけでできないわけではない。

本当のところ日本料理でできないものはほとんどないと言っても過言ではない。

その代わりに洋食や中華など海外のものは全くと言っていいほどできない。


恋「喜んでくれるかな」


悠が喜ばなかったことはないが、それでも不安にはなる。

同時に喜んでほしいと思う。


下準備だけ整え、悠が起きて来るのを待つ。

とは言ってもまだ6時にもなっていない。

8時は過ぎないと自分では起きてこない悠はもう2時間は寝ているに違いない。

仕方ないので私はパソコンを開いた。

いわゆるハッキングだ。

大切なものを守るために身につけた技術。

その使い方を間違えてはいけないと、恋は知っている。

カタカタと無機質な音が部屋に響く。


『春風』について調べた時に私はあることに気づく。

ふーん…全国No5の葉蘭が今日学校に攻めてくるんだ。

学校に来るのが面倒だなぁ。

そう思いながら、黒髪の短髪のウィッグをカバンに入れる。

何かあった時のため、と自分に言い聞かせて。

ウィッグがあるのは、気分で髪型とか髪色を変えるため。

染めると髪が傷むし、切るとなかなか伸びないからね。

そうして私はすることがなくなった。

暇になった私は今カバンにしまったウィッグをつけ、黒いTシャツと黒いスキニーに着替えた。

玄関で黒のスニーカーを履き、外へ遊びに出た。

遊びに出たと言っても、近くにある公園に行くだけ。


私が公園に入ろうとした時、中に人がいることに気がついた。



――春風だ

春風の奴らも私の存在に気づく。

私は公園に入るのを諦め、全速力で繁華街まで走った。

後ろで何か言っていたような気がしたが、気のせいだということにしよう。


しばらく走り、繁華街に着いた私は仕方なく裏口から鍵を開け翔竜に入る。

中にはまだ人はいなかった。

お客さんがいたらおかしいけどね。

自分の働く店のため、遠慮せずに休む。

でもまさかあの公園で春風と会うとは……ウィッグ被っててよかった。

もういっそ今日は学校休もうかな。

行くのが面倒くさい。

よし、今日は仕方ないから真の手伝いをしよう。

昨日休んじゃったお詫びもあるしね。