大好きな君へ〜私はもう大丈夫だよ〜

恋side



私は湖の畔にいた。

太陽の光が湖へ注がれ、反射して水が輝いている。

辺りを見渡すと、青々としておる木々。

木々たちはこの場所を隠すかのように生えていた。

自分がどこから来たのかもわからないが、ここが心地いいと思った。


ここは、どこだろう。

私は知っている気がする。

でも、思い出せない。


私は記憶を辿る。

しかし、この場所の記憶は一向に思い出せない。



どうして……?



やがて太陽は雲の後ろへと隠れ、湖の輝きもなくなった。

湖が輝きを失う直前、湖の上に誰かが見えたような気がする。






目を覚まし携帯を開くと、そこには『4:45』という文字。

どうやら早朝に目を覚ましたらしい。

学校でも夕方まで寝たのに、夕方からずっと寝ちゃうなんて……

最近寝てなかった分だろうか。

そう思っていたが、私はあることに気がついた。


恋「やば、仕事」


私はすぐに携帯を開き直し、あるところに電話をかけた。

プルルルルと規則的な機械音が聞こえる。

やはりこんな早朝には誰も出ないと諦めかけたその時


『蒼……遅い』


電話口から聞こえるのは、今起きましたと言っているような眠そうな声。

きっとこの電話で起こしてしまったのだろう。


「ごめん。ちょっと、気失ってた」


電話相手は翔竜のマスターである、渡部 真-watabe makoto-。
星城高校の理事長である秋の弟で、春風4代目の副総長だった人。


真『はぁ……春風8代目総長の国崎嵐だろ』

恋「知ってるなら聞かないでよ。でも、夜行けなくてごめん」

真『蒼に客がいつも通り来てたぞ』

恋「本当に申し訳ない」


蒼、とは私の仕事場での名前である。

真の経営する翔竜というお店。

私はそこでバーテンダーをしている。

夜もそこで仕事が入っていたのだ。