「やおったい、今年の編入生うちだけぇやん!なんでくれるの!うちの…編入生同士仲ようしまひょ☆孤独を抜け出そない作戦!が台無しやん!」
「知らねぇよそんなもん」
長い長い地平線のような廊下を教室目指して進む。
「だいたい、孤独を抜け出そうってなんだよ」
「ふっアンタ分かってへんな…ええ?!こないな金持ちのお嬢様やボンボンがうやうやおる学園に編入してきて、このうちが、や・た・しが!馴染めるってでぇも思ってんの?」
「無理だな」
冬也の返事まで約0.1秒。
おまけに鼻で笑いやがったわコイツ。
「無責任なヤツな」
今の会話の通り、うちは中等部よってにの進級ではなく編入生。もちろん、試験を受けたちゅうわけや。
一人でな。
もってもって成績はあかんほうやなかった…中の上くらいかしらな。
ほんでも、この学園に入るこっては難しかったちゅうわけや。
が、ほんで出てきよったんがこいつ。
「あ?んだよ」
幼馴染みの篠原冬也(シノハラトウヤ)正真正銘の金持ちボンボン。
兎にも角にもな自分一番なやつで、唯一うちが本気で張り合えるぼんぼんかしらな。
サラサラ黒髪には毎度ムカつくわ。
どこのシャンプー使ってるか聞おってみれば
『フッ。オーダーメイドだ』
ってか抜かしやがってたわ。
