冷たいキスしか知らない俺に、本当のキスを教えて




ナギは、頬を染め、私に言った。

「真友が好き。……それだけを言うのに、こんなに時間がかかった。誕生日に間に合ってよかった。真友が先輩に告白した時の気持ちが、初めてわかった気がする」


「私もナギが好き。ずっとそばにいてほしいって、ずっとずっと……伝えたかった」

最後の方は、言葉にならないほど泣いていた。


「もっと近づいてもいい?抱きしめたいんだ」


ナギの手が、私の背中に回されゆっくりと力が込められていく。


「抱きしめるって、こんなにあったかいんだな……」


そうつぶやく、ナギの温かさ。
切ないほど、君が好き。



「画面越しの冷たいキスしか知らない俺に、本当のキスを教えて……」


私の顎に、そっと添えられる指。

私は、静かに目を閉じる。
そっと触れるだけで離れたキスは、あたたかかった。


「あったかいな……」


ふわっと笑ったナギの唇に、たまらず私からキスをした。




握っていた携帯が、手からこぼれ落ちる。

これからは、携帯をずっと握っていなくてもいい。
ずっと画面を見ていなくてもいい。

だって、こうして手を伸ばせば、あなたに触れることができるのだから。







~ end ~