なのに、次の週、お迎えに行くと、あいつはいつも通りのちょっぴり俺様な態度を見せた。


「よお。今日もおっせーな。」

「そう? これでも今日はだいぶ頑張ったんですけど。」

「ま、いっか、翼。ちょっと遅いくらいの方が、ゆっくり遊んでやれるし。」

「うん。」

「先生には怒られちゃうけどね。」


そうそう、それでいい。

そうやって、悪ガキみたいに子供と一緒に笑ってる方があいつらしくて。

心配してたのが嘘みたい。

すっかり元の姿に戻っていることに、とても安心する。


だけど、本当に大丈夫なのかな?

聞いたところで話してくれないだろうけど。

あの日の様子からして、恐らく人にたやすく相談できるような内容じゃないって想像はつく。

だとしたら、あいつは一人で、何か重大な問題を抱え込んでるんだよね..........


いや、でも、これが全部、私の思い違いで、あのチャラい先輩にでも相談して、とっくに解決してるならそれでいい。

って言うか、むしろ、そうであってほしいかも。

それであいつが苦しまずに済むなら。


あんな風に隠そうとするのは、知られたくないからだよね。

なら、そっとしておいた方が良いのかな。

彼女のことは気になるけど、それより今は、あいつが平穏に過ごせるようにすることが先だ。

触れずにいることでそれが守られるなら、あの日のことは心に仕舞っておくしかない。