「しょうがねーな」とでも言いたそうに力なく微笑むと、あいつは溜め息をついて見せた。

やっぱり聞いちゃいけなかった?

緊張で、口から心臓が飛び出そうだ。


「マジで何でもないから。」

「..........。」

「そんな顔すんなよ。大丈夫だから。」

「ホントに?」

「心配させたんなら悪い。でも、本当に何でもないし、もう終わった話だから。」

「.....わかった。」


全然わからないけど、まったく納得が行かないけど、その時はそう返事をするしかなかった。

本当は心配で心配でたまらない。

でも、寂しげな表情を見せるあいつがとても弱々しく見えて、それ以上は立ち入っちゃいけない気がしたから。


だけどさ、そんな顔して何でもない訳ないじゃん。

いつも強気なあいつにこれほどダメージを与えるなんて、彼女は何を言ったんだろう。


こいつもこいつだ。

そんなに強がらなくたっていいのに。

私なんかじゃ頼りないかもしれないけど、少しは弱音を吐けばいいじゃん。

何か言えない事情があるにしても、辛い気持ちを受け止めることくらいはできる。


本当は何でもなくなんかないくせに。

落ち込んでる顔なんて見たくないよ。

教えて。 彼女は誰なの?

こんな気持ちじゃ、私だって何でもなくないんだから。


不安と心配で苦しくなる。

もっと話してよ。 頼ってよ。

少しでいいから、心の内を見せてよ..........