しょうがねーな、まったく。

何だ。こんな簡単なことだったんだ。

どうして今まで、誰にも言えないなんて決め込んでいたんだろう。


自分の中に隠しておくために、知らず知らずのうちにバリアでも張っていたのかな。

受け入れてもらえる可能性はあったのに、それを自ら断っていた。


もちろん、誰にでも話せるような内容じゃない。

だけど、勇気を出して打ち明ければ、わかってくれる人も手を差し伸べてくれる人もいたんだ。

なのに、そこに踏み込むチャンスを逃し続けていた。

今、京子さんの親しみの込もった笑顔を見て、やっと気が付いた。


「何か、青空ちゃん、いいなぁ。益々、気に入った。」

「ホントに?」

「マジで敦史くんと上手く行かないかなぁ。」

「だから、それは違うって。」

「わかった、わかった。でもさ、もしそうなったら、希も翼も今より幸せになれると思わない?」

「そうかな?」

「子供らより、あんたら二人の方がもっとかもしれないけど。」

「えっ?」

「冗談じゃないからね。」

「もう。」


いたずらっぽく微笑みながら、子供たちの方へ歩いて行く京子さんの背中が眩しく見える。

見た目はちょっぴり怖いけど、京子さんの話す言葉には愛も気使いもあるし、心が優しい人なのも伝わって来る。


初めて会ったのに、何でも言えそうな気がしちゃうのはそのせいなのかな。

何にせよ、いろんな意味で強い味方ができた気分だ。