しょうがねーな、まったく。

次の月曜日、頑張って少しだけ早くお迎えに行くと、あいつも来たばかりの様子で、何やら先生と話をしているところだった。

よく見ると、今日も私服だ。

仕事は休みだったのかな。

やっぱり、こっちの方がカッコいい。

黒っぽい長袖Tシャツに、カーキ色のカーゴパンツをラフに着ているだけなのに、いつもの作業着より断然イケメンに見える。


「おっ、今日、早くね?」

「あら、 ほんと。」

「あぁ、はい。」


そりゃあ、そうでしょ。

少しでも早く帰れるよう、今日は朝から頑張ったもん。

改めて一昨日のお礼もしたかったし、あいつとちょっと話せたらいいなと思ったから。


「翼、治って良かったな。」

「うん。お陰さまで、もうすっかり元気。」

「今日は、何だか張り切ってましたよ。運動会のお遊戯の練習もノリノリで踊ってました。」

「そうなんですか?」

「えぇ。当日が楽しみですね。」


そうか。もうすぐ運動会だよね。

そう言えば、とっくに練習が始まってるはずなのに、その話はまだ翼の口から出て来ていない。

やっぱりこっちから、気にして話しかけてあげないとダメか。


「ねぇ、ママ、僕、のぞみちゃんと一緒に帰る。」

「あぁ、うん。そうだね。」

「いいよ。つばさくん、一緒に帰ろう。」

「それがいいわね。じゃあ、明日も元気でいらしてね。」

「うん。先生、さよなら。」

「はい。さようなら。」