しょうがねーな、まったく。

あいつに言われて、胸の奥がズキっと傷んだ。

申し訳ないとか言いながら、結局、私、この子に辛い思いばっかりさせてる。

どうにもならないって決めつけて、いろいろ諦めようとしてる。


今まで何でも一人でやって来たけど、翼のためを思ったら、それだけが正解じゃないんだよね。

手を差し伸べてくれる人がいるのなら、時には素直に甘えるベきなのかもしれない。


「よし。じゃあ、明日の朝、行くわ。」

「ありがとう。」

「何時ごろ、家出んの?」

「七時半くらい。」

「わかった。あ、でも、家の場所、わからないから、住所送って。」

「うん。うち、国道沿いのファミマの裏にある白いアパートだから。」

「あぁ、何となくわかるかも。」

「ホント?」

「前に近くの現場があったから。」

「へぇ、そうなんだ。」

「まあ、それはいいから。翼、ゆっくり休ませてやれよ。」

「うん、ありがとう。」

「じゃ、お休み。」

「お休みなさい。明日はよろしくお願いします。」


ふぅ..........。

あぁ、良かった。本当に良かった。

ホっとしたら、一気に体中の力が抜けちゃった。


でも、こんなことって、あるのかな?

まだ半分信じられない。

勢いで約束しちゃったけど、これで良かったんだよね?


苦手と思ってた相手に、こんなに優しくしてもらえるなんて嘘みたい。

やっぱりあいつ、イイ人じゃん。