しょうがねーな、まったく。

ダメな母親なのは、言われなくても十分わかってますから。

ただでさえ凹んでる最中なのに、そんな言い方しなくてもいいじゃん。

本当にデリカシーの無いやつ。


「しょがねーな、まったく。じゃあさ、俺が見てるわ。」

「へっ!? 嘘?」


そんな簡単に言わないでよ!!

それって、どういうことかわかってるの?

わざわざ知りあって間もない親子の家に来て、病気の子供の面倒見てくれるって言う訳?


「こんなつまんない嘘言わないから。」

「ダメ、ダメ!!そんなのダメ!!」

「ダメじゃないよ、全然。」

「ダメだよ、それじゃあまりにも申し訳ないし、感染っちゃうかもしれないし。」

「家族が風邪引くなんて、どこの家でもあり得ることじゃん。」

「でも、高熱出すかもしれないよ。」

「そんなに悪いの? なら、余計に誰かが付いててやらなきゃダメだろ。」

「そ、それはそうだけど..... 。」

「俺は翼が可哀想だから言ってんの。あんたのために言ってるんじゃないから。」

「..........。」

「具合が悪いのに放っておかれる五歳児の気持ち、もっと考えてやれよ。」

「それは.....。」

「助けてやるって言ってるんだからさ、それでいいじゃん。」

「でも.....。」

「でも?」

「..........わかった。お願いします。」