しょうがねーな、まったく。

そう簡単に言われても、すぐさま迎えに行くなんて不可能だ。

そもそも、働いてるから保育園に預けてる訳だし。

先生にとっては当たり前でも、私にとっては無理難題。

こういう時、他のお母さんたちはどうしてるんだろう。


翼には申し訳ないけど、しばらく寝ててもらうしかない。

ごめんね、ママ、頑張るから。

ちょっとだけ我慢してて。


そこから集中してザザっと資料を仕上げ、早退させてほしい旨を課長に告げると、案の定、嫌な顔をされた。

それはそうよね。

まだ退社時間じゃないし、場合によっては、今作った資料に変更があるかもしれないし。


「ところで、明日は来れるの?」

「あぁ、そうですよね。」

「ダメかもしれないんだったら、ちゃんと引き継いでから帰ってね。会議って言っても、要は商談みたいなもんだから。すぐ資料が出せるようにしておいてくれないと困るんだ。」

「はい.....。」

「って言うかさ、もう休みにしちゃえば。はっきりしないんだったら、他の女の子に頼んでもいいよ。」

「あ、いえ、それは..........。」

「どうする?」

「多分、大丈夫です。」

「ホント?」

「はい、何とかなると思います。」

「そう? じゃあ、頼むよ。」

「はい。お騒がせしてすいません。」