しょうがねーな、まったく。

「あ、翼くんのお母さんですか?」

「はい。」

「すいません。翼くん、お熱が出ちゃったみたいで。」

「そうなんですか?」

「朝は元気に遊んでたんですけど、お昼をあんまり食べなくて。おかしいなと思ったら、身体が熱かったので、計ってみたら、37.6分ありました。」

「そうですか。」

「昨日、帰ってからどうでした?」

「え? あっ、あぁ、元気でしたよ。」

「ですよね。遠足でも、嬉しそうに走り回ってましたからね。」

「..........。」

「すいませんが、とりあえず、お迎えに来ていただけませんか?」

「はい.....。」

「まだお仕事があるでしょうけど、できるだけ早く。」

「そう、ですね。」

「それでは、職員室の奥の和室で休ませておきますので、よろしくお願いします。」

「わかりました。できるだけ早く行きますので。」

「はい、お願いします。では、失礼します。」

「お願いします。」


..........あぁ、やっぱり。

こういう展開を想定して、例の書類を早めに作ろうと思ってたのに、データが上がって来たのは午後になってから。

どんなに頑張っても、二時間くらいはかかりそうだ。


何とか早退させてもらうにしても、ここから保育園までも一時間。

電話をもらってから三時間以上かかっちゃったら、先生になんて言われることか。