しょうがねーな、まったく。

「じゃあ、いいよ。仕事だったら、一日、翼、預かるわ。」

「へっ!?」

「ダメ?」

「ダ、ダメじゃないけど.....。」

「じゃあ、決定。」

「いや、ちょっと待って。ダメ。それじゃ申し訳ないし..... 。」

「いいって。希もその方が嬉しいだろうし、翼、行きたがってるのに可哀そうじゃん。」

「でも.....。」

「仕事なかったら、一緒に行くだろ?」

「え? あぁ、はい。」

「じゃあ、念のため、連絡先教えて。」

「う、うん.....。」


うそ~!! 何なの、この展開!?

私、金髪ヤンキーとLINEでふるふるとかしちゃってる。

これは夢じゃないのよね?

あまりに突然過ぎる方向転換に、まったく頭が付いて行けてないんですけど。


「預かってる間、何かあったら連絡するわ。」

「うん、ありがとう.....。」

「何? 納得行かない?」

「ううん、違う。ちょっと驚いちゃって.....。」

「なんで?」

「昨日まで、会えば喧嘩っぽくなってばっかりだったから。」

「あぁ、そうか。ま、気にすんなよ。子供の前で争うのもアホみたいだし。」

「そう、だね。」


何だろう、この狐につままれたみたいな感じは。

さっきまで天敵だと思ってた相手が、急にものすごくイイ人に見えて来る。

切れ長の瞳ではにかんだように笑われると、不覚にもちょっとキュンとしちゃうくらい。