しょうがねーな、まったく。

次の日から私の戦いは始まった。

仕事の行き帰りに雑誌を立ち読みしてみたり、スマホでお手軽レシピを検索してみたり、できることから手をつけてみた。


朝ごはんでも出汁巻き玉子にチャレンジしてみたけど、予想通り、きれいに巻くことはできなかった。

微妙に真ん中が生だし、周りは茶色くなっちゃってるし、何か美味しくない。

どうしよう。まずはここから練習しなくちゃ、話にもならない。


今まで私の料理を食べるのは翼だけだったからさほど気にしてなかったけど、これを人に出せるかって言えば、それは無理っていうレベルだ。

こんなのばっかり食べさせて、ごめんね、翼。

ママは反省したよ。

これを機会に頑張るから!!


しかし、これは本当にマズい。

気合いだけで何とかなる問題じゃない気がして来た。

玉子焼き一つ満足にできない女が、こんな短期間で、あいつを満足させるお弁当を作れるようになるのだろうか.........


ところが、翌朝、敗北感に打ちひしがれながら翼を保育園に送って行くと、思いも寄らぬ救世主が現れた。

やった!! そうよ!!

どうしてもっと早く気付かなかったんだろう。

すがるなら、この人しかいないじゃん。


この時間に送って来ても、いつもは会わないはずの京子さんが、私に向かって手を振っている。

これはきっと偶然なんかじゃない。

持つべきものはやっぱり女子力の高い友達だ。