塩系男子の恋愛事情

その日の夜。

「ふーん、まだ発展していないんだ」

そう言ったのは、同期の辻本工(ツジモトタクミ)くんだ。

彼はあたしと小笠原くんが勤めている部署は違うけど、入社式の時に席が近かったことがきっかけで仲良くなった。

小笠原くんとも仲が良くて、小笠原くんのことで困った時はいつも彼に相談をしている。

この日は会社から出たタイミングが一緒だったので、久しぶりに飲みあおうと言うことになった。

行きつけのバーで、辻本くんに愚痴を聞いてもらっていると言う状況である。

「もう半年も経ったのによ?

信じられないんだけど」

あたしは息を吐くと、カシスオレンジを口に含んだ。

「はーっ、大切にされていますこと」

辻本くんは言い返すと、ピーナッツを口に入れた。

「どこがよ!?」

何を思って、大切にされているって言うのかしら?