若の瞳が桜に染まる

今から十分ほど前。
荷物を運ぶとなった際、中と外で手分けした方が良いとは誰もが思ったが、その組み合わせに問題があった。

一番丸くおさまる関係性は、我久と日和、旬と蘭。だが、旬と蘭が日和の荷物を勝手にどうこうするというのはいただけない。
かといって、他のどの組み合わせでも問題が生じそうだと全員が気にしていた。

その沈黙を破って、声をあげたのが日和。

「私、蘭さんと庭の方やっていい?」

まさか日和がそんなことを言い出すとは予想しておらず不意を突かれた蘭。だが、宣戦布告ともとれるその発言に乗らない訳にはいかなかった。

「おう。
ちゃっちゃと片付けっぞ」

目を見合わせて何か言いたげな我久と旬のことは放って、女性二人は庭の方へ移動した。

何故日和が自分を指名したのか、蘭にはわからなかったが、もしも懐に入り込もうなどと考えているのなら、その思惑を潰すまでだと考えた。

「なぁ。
どういうつもりで私を選んだ?

距離縮めようったって無理だぞ。あんたが何企んでようと、私が阻止する」

すると、日和は座ったままですっと蘭を見上げた。

「…植物を扱うのは、女の人の方が上手だから」

それだけ言うと、すぐに作業に戻った。

「は、それだけ?」

単純すぎる理由に納得できなかった。