「あれは…、元々爺さんが言い出したんだよ」

「は?なんで組長がそんなこと命じる必要があんだよ」

「日和を人質にとって俺と結婚させて、組全体で見張ろうって魂胆らしい。
そんなの、あってはならないって思ったけど…、日和が納得したんだ。もちろん爺さんの恐怖から逃れたいっていうのが大きかったと思うけど…」

「はぁーなるほど。

お嬢さんを守るという口実で、一緒にいられると嬉しくなった訳ですか」

その先を旬が代弁した。
そこにイラッとくるのが蘭。

「ヘラヘラすんな!
やっぱ流されてんじゃねーか!
こんな結婚今すぐ取り止めろ。
その日和って女が結婚に納得するのは当然だろ?我久といれば屋敷の情報を思う存分収集できるんだからよ」

「一理あるな。
あの嬢さん仕事続けるんですよね?ずっと屋敷にいるって訳でもないみたいだから、外部との接触にも自由が利く。
そこで情報バラされたら困りますよ」

そう心配をする二人の肩に、我久は笑って手を置いた。