若の瞳が桜に染まる

「…俺、花を育てるのが下手みたい。すぐ散ってしまった。大事にしたかったんだけど…」

「きっと…、私のせいだ…」

いつもよりトーンの落ちた声。
その瞳は悲しさを含んでいる。

「え、どうして?」

「…話の続き。
施設を出てからは、植物を育ててそれを売って生活してた。施設でも同じようなことしてて慣れてたし、珍しい花も上手く咲いてくれたから、高くで買い取ってもらえてた。

だけど…。私の育てる花は、私の心の影響を受けてしまうみたい。手をかけすぎてるから、私の一部みたいになってるのかな…。
気分が落ち込むとこうやって変な枯れ方をするの。

一度花壇から離れて、どこか遠くへ行ってしまえば影響を受けることも無いし、花壇にある花なら私が元気になれば元に戻ってくれるから良いんだけど…。

このワスレナグサは、私が近づいてしまったから散ったんだ…。もう、元には戻らない…」

日和にとって花が散ったことは、自分が苦しめられたこと以上に辛く悲しいことのようだ。