若の瞳が桜に染まる

あの日俺は、日和を拐おうとしている旬と蘭に会っているんだ。それなのに、二人には何の目的で来たのかをちゃんと聞かずにそのまま帰った。あの二人のことだから、俺が吐けと命令すれば日和のことを漏らしたはずだというのに。

次の日だって、日和がいないことを変に思いながらも結局何もしなかった。
…もっと早くに助けるチャンスは、いくらでもあったんだ。

「クソッ…」

そんな自分の不甲斐なさを悔やんでも悔やみきれなかった。

そしてもう一つ、我久を落ち込ませているものがあった。

それは、天祢組に生まれた人間として避けては通れないもの。
自分が天祢組の関係者だと知られた以上、どんなに望んでももう、以前のような関係には戻れないのだ。