若の瞳が桜に染まる

「俺一人で出ていく気はない。
どうしても出ろって言うなら、日和も連れていく」

「生意気言いやがって。
そこまでその嬢ちゃんにこだわる理由でもあんのか?」

こだわる理由。
その問いに最も適切な答えを、必死で考えた。ここで下手な返事をしてしまえば、爺さんは疑いを日和に向けたままで、また同じことの繰り返しになるだけだ。日和をここから助け出せない。
その為には何て答えれば良い?
考えろ。

そして我久は、一つの理由に辿り着いた。

「…日和が、俺の彼女だからだよ。
彼女を守ろうとして何が悪い」

緊迫した空気が若干変わった。旬も蘭も、我久の方を見て目を丸めている。

日和でさえ我久を見上げている。