若の瞳が桜に染まる

「やべーよ、蘭。
我久さん組長の部屋に乗り込む気だ。
こんな怒ってる我久さん見んの初めてで、どうしたら良いかわかんねー」

後ろからは二人がどうにか我久を引き止めようとついてきている。

「おい我久!
少しは頭を冷やせ。
今は組長も気が立ってる。話なら後にしろよ」

「後なんて無い。
今どうにかしないと」

「あーあ。でたよ。
我久さんのこのパターン」

旬が半ば諦めた声で腕を頭の上に乗っけてそう言った。お手上げということだ。

我久は時々こうやって、誰に何と言われようと自分の意思を曲げない男気を発揮することがあった。
二人は我久がこうなったら止められないことをよく知っていた。
それに、我久のそういう所に惚れ込んでいる二人は、もう無理に止めようとはせず、ただ後ろをついて歩き、成り行きに任せることにした。

そして三人は、幾人もの制止を振り切り、屋敷の最も奥にある部屋へと続く襖を開けた。