若の瞳が桜に染まる

「いやー、可能性はゼロではないと思ってたんですよ。
やっぱり、柊日和が我久さんの恋のお相手でしたか。ですが我久さん、それはまずいですよ」

取り乱している我久をなだめようとする旬だが全く効果がない。
むしろ我久の怒りは増す一方。

「ふざけてる場合か!
何で日和を拐った?まさか爺さんに頼まれたのか?」

「悪いことは言わねーよ。あの女は止めておいた方がいい」

蘭はこれ以上我久が進まないように立ち塞がった。

「理由になってない!」

「柊日和は我久を裏切った。
ただそれだけだ。

もう会うことも無いだろ。いつもみたいに適当に忘れろよ」

「……どいてくれ」

痺れを切らした我久は、二人を払って屋敷の奥へと足を進めた。