若の瞳が桜に染まる

そんな我久を見ながら旬と蘭は若干の違和感を覚えていた。

「へぇ。我久さんがただの花をあんなに大事にするなんて。
組の奴らが聞いたらどう思うか」

「さーな。花を大事にするなんて心が広いですね、とかぬかすんじゃねーの?

我久の奴、どうせ変な女に引っ掛かってんだ」

「わかんねーよ。最近の我久さんの様子からして、遂に本命が現れたのかも。

そしたら蘭はどうすんだ?
我久さん、取られるぜ?」

「あ?
そんな女、いつも通りに排除するだけだ。

んなことより今は、組長から頼まれた仕事だ。我久も行ったようだし、そろそろ動くぞ」

「我久さんにこんな仕事してるとこ見られたら絶対止められるもんな」

我久がいなくなった会社のビルの一階。
旬と蘭は組長から命令された仕事を行うため、今まさに、計画通りに動こうとしていた。