「あ…」

目に飛び込んできたのは、日和の髪と同じ綺麗な色の大きなサクラの木。
もう少しは視線を先に移すと、たくさんのカラフルな植物に囲まれた小さな家があった。

今まで歩いてきた森の風景からは一変していて、我久はキョロキョロとあちこちを見て回る。

日和がこの森を去って約一年。

誰も手入れなどしていないだろうに、どの花も綺麗に咲いていた。

まるで日和が訪れたことを喜んでいるように。

その中でもやはり目を奪われるのは、他の木とは全然違う圧倒的な存在感を放つそのサクラ。

「大きいな…」

導かれるように幹に触れられる距離にまで近づく。そこは一面ピンクの絨毯だった。