若の瞳が桜に染まる

「日和も俺も、今まで色々あった。たぶんこれからもある。

だから乗り越えようよ、二人で」

「二人で…?」

「うん…。
そうやって、夫婦に近づいていこう。

……嫌?」

もう一人にさせない。
俺を変えてくれた日和の心の隙間を、今度は俺が埋める番だ。

真っ黒な植物に囲まれた世界なんて、二度と作らせたりしない。

そう誓いを頭の中で唱えつつも、やはり最後は強気にいけないのが天祢我久という男。

どうしても無理に日和を自分のもとに置くことはできず、最後の判断を委ねてしまった。

日和はじっくりと考える。
それもそうだ。
柊忠義と縁が切れるのなら、もう天祢組に囚われる必要もない。

日和が自由になりたいと望むのならば、辰久が何と言おうと、我久は日和の意見を尊重するつもりだった。

強引に俺を選べとは言えない、我久の優しさとも弱さともいえる一面。