若の瞳が桜に染まる

「日和の安全は確保した。あとは頼んだ」

誰かに無線で合図を出すと、それから少しして一斉に人が庭に乗り込んできた。

「組員は外に待機させておいたんだ。

これでもう、柊忠義は終わりだな」

さすがは天祢組。本気を出せば、警察でさえも潰してしまえるのだった。
警察を潰したと言っても、柊忠義が指揮していた裏社会と繋がりを持つ組織のことだが。

それでも警視総監が関わっているのだから、明日の朝になれば世間を大きく揺るがす事件となるのは当然のことだった。

「…我久、ありがとう」

車に乗り込んですぐに聞こえてきたのは、今にも消えてしまいそうな感謝の言葉だった。

「当然のことをしたまでだよ。銃口向けられたときは焦ったけど…、楠井が逃げてくれてよかった。
俺、拳銃なんて持ってなかったし」

我久は無理にでも明るく振る舞ったが、逆にその場を空しくした。