若の瞳が桜に染まる

「…先輩でしたか。生きてたんですね…。

屋敷に護衛二人を忍ばせて囮にして自分は窓から侵入なんて、無茶をしますね。

でも…もう少し人員を増やすべきでしたよ。じゃないとこうやって、俺がすぐに戻って来ちゃうから」

溜め息混じりの楠井の手には、拳銃が握られていた。

「日和から離れてください。
変な真似したら、二人とも撃ちますよ?」

我久は楠井と視線を逸らすことなく、日和から距離をとった。

「ずっと気付かなかった。今でも信じられないよ。楠井が警察の人間だったなんて。

…でも敵地に乗り込む以上、俺だって準備はしてきてる。
楠井が本気で撃つつもりなら、その引き金を引く前に俺はお前を撃つよ」

「何言ってるんですか?
まだ手に持ててもないのに、そんなことできるわけないじゃないですか」

そう言いつつも、楠井はすぐに引き金に触れることができなかった。