若の瞳が桜に染まる

本当に、この世から存在を消されるのかもしれない。

我久にもう会えない…。

蘭さんや旬兄、香織さんにも…。

楠井が置いていった鉢の、しおれていた葉が黒く炭のように色を変えていく。

茎までも枯れてぽきりと折れてしまった。ここまでくると、もう再生は不可能だった。

この植物が、日和の精神状態を物語っている。とっくに限界は超えていた。

「助けて…」

日和が心のなかで最後にそう呟いたとき、窓から風が吹き込みカーテンが大きく揺れた。

開くはずのない窓からの風。

日和は顔をあげた。