若の瞳が桜に染まる

一緒に部屋に入ってきた楠井に、日和は苛立ちをぶつけた。

「…楠井さんは、何でこんなこと…。

我久と仲良さそうにしてたのに…。裏切って、平気なの?」

「裏切ったっていう表現はちょっと違うかな。
最初から裏切ることも計画に入れて先輩に近づいたんだから。俺の行動は一貫してるよ」

何を言おうと無意味な気がした。

最初から、楠井の目に我久は倒すべき相手として映っていた。

この世には、相容れない組織が存在することを理解している。
そこで争いが生じるのも頷ける。

でも、どうして自分だけが無傷で敵側にいるのか。そんなこと、何としてでも拒みたかった。

我久たちの命を狙った人たちと暮らすなど、日和には耐えられなかった。