若の瞳が桜に染まる

「あ…えっと、こんにちは…」

戸惑いの中、咄嗟に出てきた挨拶はかなりぎこちなく…。
日和には軽く頭を下げられるだけだった。

「そのー…、良い天気、だね…」

「…」

返事は返ってこず、日和は何を考えているのかわからない表情をしている。そして、何かに気づいたように横に置いていたジョウロやスコップを持って立ち上がった。

どこかへ行こうとしているらしい。

「あ、待って!ち、違います。俺、別に一人になりたくて屋上に来た訳じゃないんで、そのまま作業続けてて!」

我久も人見知りだからこそ、日和の考えがわかった。自分も、屋上に男が一人で来て、様子がおかしかったら何も聞かずに立ち去るという選択をとるだろうと。

だが、ここで日和に帰ってもらっては困る我久は、慌てて引き止めた。